の第一印象?
んー猫って感じかな、でっかい目とか特に。
他に?
・・・超マヌケ、おまけに超鈍感ってのも付け加えとく。
あ、あとトラブルメーカーってのもな!
「それじゃぁ、頼んだぞ。」
「はっ!」
先輩が部屋を出て行くまで敬礼を続け、扉が閉まると同時に体中の力を抜いてため息をつく。
「何で引き受けちまったんだ?オレ・・・」
がっくり頭を垂れるオレの手には、今日医局へ配属される予定の新人の調書が握られている。
「これと言うのもアイツが腹痛なんかになるからだっ!!」
持っていた調書で壁を叩きながら、本来新人の面倒を見るはずであった医局の友人であるライムの文句を言い続ける。
「医局の人間が腹痛ってどう言うコト?しかも食中毒だ!?だからオレがあれほど食い過ぎんなって散々注意してたのにっっ!!」
バシバシ壁を叩いていた所為でクリップで止めてあった調書がばらけて床に散らばった。
自業自得なのだがそれすらも腹立たしい。
「・・・絶対今度、奢らせてやる。」
自分で言うのもなんだがオレは結構人当たりがいい方で、あっちこっちの部署に友人と呼べる人間が散らばっている。
ライムもその中の一人で、同期と言う事もあって結構仲がいい。
だーけーど、ただそれだけの事で何でオレが医局の新人の面倒見なきゃなんねぇんだ!?
いくら医局の人間が研修だとか学会だとかで手が足りないとは言え・・・。
「けどなぁ、隊長からも失礼の無いようにとか言われたが・・・何なんだよコイツ。」
ばらけた調書を拾い集めながらふと目に付いた単語に手が止まる。
「え?」
その一枚を拾い上げ食い入るようにその一部を見つめる。
「マ・・・マジ!?」
調書の推薦者の名前の欄に・・・ラクス・クラインの名前があった。
「これって、あの・・・プラントの歌姫・・・だよな?」
プラントに住んでいる者なら誰もが知っている、ラクス・クライン。
彼女が婚約したと言うのを聞いてショックを受けた男は星の数ほどいるだろう。
ちなみに・・・オレもその一人。
「他になんかおいしい情報書いてないのか!?」
ひょっとしたらラクス嬢と何か繋がりのあるヤツで、上手くいったら個人的に会う事も出来るかもしれない。
そんな淡い期待を抱きながら調書を全て読み返したが、推薦者の部分に書かれた名前以外、大した情報は書かれていなかった。
大きなため息と同時に再びクリップで書類を止めると、ちょうど新人到着の放送が入った。
「そんじゃぁ行きますか。」
「・・・今回も赤は無し、か。」
オレより年下で赤のヤツが入ってきたら色々面倒だからな。
MSパイロットの新人達がオロールに連れて行かれるのを見届けて、残った数人の中から調書に載っていた写真の人物を見つける。
残ってる人間が数人とは言え、全員が同じ緑の軍服に身を包んでいるのでその中から一人を見つけるのは案外難しい。
ふと人の隙間から写真で見た顔と同じヤツを見つけた。
「・・・あれ、か?」
風に揺れている見事なまでの金髪は、何処か人を惹き付けるような力があるように思える。
魅入られたかのようにゆっくりソイツに近づくと、オレの気配に気づいたのか姿勢を正し初々しい仕草で敬礼をしてきた。
「は、初めまして!」
「お前が・・・・か?」
「はい!」
・・・まだガキじゃねぇか。
背もちっこいし、声も女みたいに高い…変声期前なのか?
色々不自然な所がありそうだが一応審査は通ってきてるんだ・・・問題は無い、よな。
一呼吸置いてからオレは自己紹介を兼ねて説明を始めた。
「本当だったらここに来るのはライムってヤツなんだが、ちょいと都合が悪いので今日一日オレがオマエの面倒を見る。オレはミゲル・アイマン、クルーゼ隊に所属しているMSパイロットだ。」
「MS・・・パイロット。」
「そ、でもってライムの友人だ。ヨロシクな。」
「はっ!こ、こちらこそよろしくお願い致します。」
「よーっし、そんじゃぁまず荷物をロッカーに入れに行くから着いて来い。」
「はい!ミゲル先輩!!」
歩きかけて思わず足を止める。オレ・・・そう言う先輩後輩っつーの苦手なんだよな。
立場上しょうがないっつーのは分かるんだけど。
「あのさ、オレのことはミゲルでいいよ。」
「ですが・・・」
「オレはMSパイロットでお前は医局の人間。部署が違うんだから先輩後輩もないだろう?」
「・・・え?」
「お前の先輩はあくまでライム、オレはただの友人なんだから・・・オレもって呼ぶからお前もミゲルって呼べよ。」
「宜しいんですか?」
・・・案外神経質なヤツだな。
俺がいいって言ってんだから納得しとけよ!
・・・って強く言ったらまだ慣れないヒヨコにゃキツイか。
コホンと一つ咳払いをすると足を止めて荷物を持ってひょこひょこ後をついてきたの顔をじっと見た。
「先輩命令ってヤツだ。それで納得しろ。」
「・・・はぁ。」
それからライムに言われてたとおり医局のロッカーに案内して荷物を置くと、簡単に艦内を案内してやった。
道すがらオレとすれ違うヤツ皆がの方を振り向いていく。
…ま、しょうがないか。
コイツ、まだガキだからってのもあるけど女みたいなヤツだからな。
幼い顔立ちと女みたいな華奢な身体つき、おまけに変声期前の高い声。
ヘタするとオペレータールームにいる女よりも女っぽいんじゃないか?
「・・・、お前身長幾つだ?」
「えっと・・・ここへ来る前に測った時は145cmでした。」
「・・・チビ。」
ポソリと呟いたオレの言葉にが即座に反応する。
「これから大きくなる予定です!」
「予定だろ?伸びないかもしれないじゃないか。」
「伸びます!!」
・・・顔真っ赤にして力説するような事か?お〜もしろいヤツ。
くっくっくっと壁に手をついて笑っているとがオレの名前を呼んだ。
「ミ、ミゲル!!」
「あー悪い悪い。お前の身長は伸びる伸びる。」
それでも笑いが止まらなくて口元を手で覆いながらの頭を撫でたら更に神経を逆撫でしてしまったらしい。
「ミゲルー!!」
コイツ・・・ほんっとうに面白い。
暫くそんな感じでじゃれあっていたが、その後を落ち着かせて残りの艦内の説明を終えた。
「って感じだな。何か質問あるか?」
「えっと・・・ミゲルに聞きたい事があるんだけど・・・」
さっき迄のじゃれあいが効いたのか、が自然とオレの名前を呼ぶようになった。
何か、野良猫の餌付けに成功した気分になるのは何でだ?
「おう、何だ?」
「クルーゼ隊に所属してるって言ったよね。」
「あぁ、何だ?MSに誰か知り合いでもいるのか?」
「知り合いって訳じゃ無いけど・・・その、クルーゼ隊にアスラン・ザラは・・・いる?」
「アスラン・ザラ?・・・ザラ国防委員長の息子か?」
「うん。」
・・・なんでそんなヤツの名前をお前が?
その時オレの脳裏にある人物の名前が浮かんで思わずの肩をグッと抱き寄せ顔を近づけると、その耳元にポツリと囁いた。
「何だよお前、ラクス嬢に何か頼まれてんのか?」
「ええっ!!」
予想以上に顔を赤らめ動揺するに思わず笑みが零れる。
・・・こんな馬鹿正直なヤツが軍医なんてやってけるのか?
「一応調書に目を通させてもらったからな♪ラクス嬢が婚約者の心配をしてんのか?」
「えぇ・・・まぁ、その・・・そんなトコ・・・」
「そう言う事なら何か情報あったら教えてやるよ、機密事項以外ならな。」
何気なく言ったオレの台詞にが即座に反応したかと思うと、オレのスーツの袖をギュッと握って顔を覗きこんできた。
その表情は今日見た中で一番柔らかな表情で・・・思わず一瞬見惚れてしまう。
「…ホント?」
「あ・・・あぁ・・・」
「ホントに・・・教えてくれる?」
「あぁ、嘘は言わねぇよ。」
「・・・ありがとう、ミゲル。」
ホッとした様な微笑をみせたが・・・やけに可愛く見えた。
まるで・・・プラントのモニターで初めてラクス・クラインの映像を見た時のような衝撃。
ラクス嬢のように大輪の花とは違う、小さな花が咲くような・・・そんな印象の笑顔。
その後オレは友人として医局にいるの元をちょくちょく尋ねた。
約束どおり機密事項にかからない程度の情報と、時には美味い菓子を持って行く事もあった。
その都度笑顔で迎えてくれるが可愛くて、自分がアイツに抱いている感情も考えず・・・何度も何度も足を運んだ。
そんな風にオレが自分の気持ちに気付いた頃、偶然が着替えをしている場面に遭遇し・・・が本当は女だと言う事を知った。
それに驚くよりも、自分の恋心が不純なものじゃない事を喜んだオレって一体・・・。
その後、が女だとばれたら一緒の艦にいられない!
と思ったオレは色々奔走したが、それにはやはり限度があった。
「またかよっ!!」
新しくやって来た新人、ラスティにの正体がばれたと知ったオレはいつものように口を封じる為そいつの部屋に押しかけた。
こうしてオレの友人はの秘密がばれると同時にどんどん増加して行き、それに反比例するかのようにのオレに対する思いが肉親の・・・兄に対するようなものに変わっていっているのは気のせいか!?
第一印象ミゲル編
キャラ投票でミゲルが投票されているのを見てあまりの嬉しさに作ってしまった(笑)
ミゲルのファーストインプレッション(大爆笑)
大した話ではありませんし、ミゲルも捏造しています。
口調もほぼ偽者ですが・・・私の中のミゲルは苦労人のイメージがあるみたいです。
面倒見のいい兄貴分・・・だから、アスラン達よりも早く艦に入っていたヒロインは色々ミゲルにお世話になっていたみたいですよ(笑)